モデル協力 折原智美さん
椅子とテーブルのある洋間では、レストランとかホテルなどである程度慣れているけれど、茶室に一歩入るとどうやってふるまったらいいかわからないという人が最近増えているようです。
そこでこのページでは誰でも簡単にできる和室空間での基本動作を解説いたします。
ぜひ絵を見ながらやってみてください。
お茶のいただき方
1
お茶が運ばれると、右手で茶碗を畳の縁外で隣の方との間に置き、「お先に」の礼をします。
2
茶碗は右手で持ち、左手を下に添え、まずお茶に感謝の礼をします。
3
茶碗を手前に4分の1回し、一口飲みます。
正面に口をつけるのを避けるためです。(亭主に対する客の心遣いです。)
4
左手で茶碗を持ち、右手の指先を畳につけ、亭主(点前者)に「大変結構なお服加減です」という挨拶をします。
5
ゆっくりと数口でお茶を飲み干します。
最後は吸い切ります。そのとき音がしてもかまいません。
おいしくて全部いただきましたという表現でもあります。
6
茶碗の飲み口を親指と人差し指で拭きます。
汚れた指は懐紙で拭きます。
茶碗の正面を戻し、縁内左膝頭を外したところに置いておきます。
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礼の仕方
ひざより自然に手を下ろし、指をそろえ指先だけを畳につけます。
そのまま体を軽く倒し、礼をします。
横から見ると、体も指も三角形になっています。
あまり頭を下げすぎると腕の線が折れて見苦しくなってしまいます。
気持ちをこめて
女性は左右の手を付けることを忘れずに。男性は少し空けてもかまいません。
これは茶席に入ったときの礼です。
(真の礼は両の手のひらを畳に三角形を作るように付けて、できるだけ頭を低く下げます。)
あまり早く頭を上げず、少し間をおいてからゆっくりあげるのがコツです。
そのほうが落ち着いて堂々として見えます。
形だけでなく、相手の方への尊敬の気持ちをこめてしてください。
歩き方
手は軽く前につけ、すり足気味に進みます。
一畳を六歩ぐらいで歩くと着物の裾が乱れません。
畳の真ん中に1本の線が引かれていると思って、その上を左右の足の内側がまっすぐに通るように歩きます。
あごを引き、手の指が開かないようにピタリと揃えるときれいに見えます。
立ち方
重ねていた手をほどき、体を起こしてかかとの上に腰をのせてください。
そのままゆっくりと立ち上がります。
あまり勢いをつけすぎないようにしましょう。
座り方
両手はひざの上に自然に置きます。
両足の親指が重なるぐらいにして、その上に腰を乗せます。
そうすると上からかかってきている力を左右に等分して受けるため、しびれが切れにくくなります。
客として茶席に座るときは畳のヘリから20センチほどあけて座り、右手を下に左手をその上に軽く乗せてください。右手の指先は見えないようにしましょう。
背筋を伸ばし肩に力を入れないようにしてください。
床の間の拝見
襖を開け、軽く手をつき、室内の様子をうかがいます。
どこに床の間があり、どのように自分が動いたらよいかを瞬時に判断します。
立ち上がってまず床の間に進みます。
床の間の前に座り、扇子を留め金の部分を右に、竹の部分を上にして自分の前に置きます。
手を突いて礼をします。
掛け軸の内容を鑑賞し、筆者を確認した後、表装なども拝見します。
また花が飾ってあれば花器ともども、よく味わいます。(諸飾りの場合)
拝見が終わると軽く一礼し、右手で扇子の留め金のあたりを親指と人差し指で上から持ち、左手で扇子の先端部分を下から持ち、立ち上がります。
扇子は帯の高さぐらいに構えて進みます。
障子や襖の開け閉め
障子に真っ直ぐ向かい、引くほうの手(遠いほうの手)を引き手にかけ、5センチほど開けます。
次にもう一方の手を下から8寸(約24センチ)ほどのところを持ち、開けます。
全部開けきらないで最後は3センチほど手がかりを残しておきます。
立ち上がって廊下に出ます。
閉めるときは開けた時の動作の逆モーションと考えてください。
まず残しておいた手がかりに遠いほうの手をかけ、引いてきます。
閉め切らず5センチほどのところで止めます。
手を換えて、引き手にかけ、閉め切ります。
お菓子の取り方
(主菓子)
菓子器が運ばれ、前に置かれると礼をします。
次のお客様にもお先におとりいたしますという気持ちで、先礼をします。
両手は前に、顔は次客に向けます。
一番上座に坐っている方を正客、2番目の方を次客、その後は3客、4客、と呼んでいきます。
最後の方は詰と言います。
正客と詰は茶道に堪能な方が坐ります。
ここではまだ入門したての生徒さんという設定で中ほどに坐っていることにします。
菓子器を両手で低い位置で持ち上げ、お菓子に感謝の気持ちをこめて礼をします。
ふところから懐紙を取り出し、そのうちの1枚を輪が手前にくるよう畳のヘリ内に置きます。
箸を上から右手で取り、左手で扱って右手で取りやすいように持ち直します。
箸は黒文字なので皮の部分を持ち、削ってあるところには触れません。
左手を軽く菓子器に添え、右手でお菓子を取ります。
いくつかあるときは端から取ります。
懐紙にのせると、箸を左手で扱い右手を最初のように上から持ち直し、懐紙の左上隅で箸の先端を左手でぬぐいます。
練り切りやきんとんなどの場合にします。
干菓子は箸を使わず、手で取ります。
7
次の方に菓子器を回します。
菓子器はいつもヘリ外を回ります。(広間の場合)
お菓子のいただき方
楊子を出し、両手で懐紙ごと持ち上げ、食べやすいように切っていただきます。
楊子を使わず、そのまま手でちぎりながら食べても良いですし、両手で懐紙ごと口元まで運び、懐紙で口を隠しながらいただいても結構です。
お茶が運ばれてくるまでに食べ終わってください。
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