こんにちわ。私A子といいます。いけばなは全くやったことないんですが、よろしくお願いします。
  ようこそいらっしゃいました。いけばなはとても豊かで、心が癒されていく世界です。あまり硬くならずにリラックスしてこの時間を楽しみましょう。 
  とりあえず母が使っていた花バサミを持ってきたんですけど。
  そうですね、できればわらび手タイプのにぎるところがシンプルなものの方が奥まで届いて使い勝手が良いのですが、これでも大丈夫ですよ。
  他にはどんなものを用意すればいいんですか。
  できれば草月流のテキストなどがあればいいのですが、おいおい揃えていくことにしましょう。 さてそれではさっそく始めましょう。 まず花材を見てください。
  うわー いろんな花や木があるんですね。目移りしちゃう。
  四季の移り変わりで一年中たくさんの植物に出会えるというだけでも幸せですよね。その植物によって生け方も、イメージの膨らませ方も変わってきます。ということはいけばなの造形には無限の広がりがあるということなのです。
  どれを選んだらいいのかな。
  そうです。そこからもう花の勉強ははじまっているのです。花の組み合わせ方に決まりはありません。一種類だけで生けてもいいですし、沢山の花をふんだんに使ってもいいのです。   ただ初めての方は少しアドバイスさせていただきます。よく花たちをみてください。それぞれに個性的ですね。大雑把に言うと線に優れたもの、色のきれいなもの、ボリューム感のあるものなど、あるいはそれらをすべて併せ持っているものなど。 今回は線を強調できる木と、色でポイントを出せる花を選びましょう。
  木ってちょつとゴツゴツしていて扱いにくそう。
  木はいけばなでは枝物といって、素材によっては曲げることができたり、大きさを出したりと、これらをマスターすれば飛躍的に造形の世界を深めていくことができるのです。
  花はいろんな色があってみんなチャーミングですね。
  そう。でも枝も花も一種類ずつにして生けてみましょう。一番最初にトライするのは基本花型といってマニュアルにしたがってやれば、誰でも簡単に生けられる花なんですよ。
  花型なんてなんか難しそうな言葉ですね。
  草月の目指すいけばなは、あくまでもその人の個性を大切にして、その人だけにしか生けられない自由な花を生けてもらおうということです。スマップが“世界にひとつだけの花”を歌いだす前から、私は“世界にひとつしかない花を生けてみよう”と言ってきました。 
             
             だから花型は野球で言えばピッチャーがマウンドへ上がる前のブルペンでの投球練習なのです。だんだんと花や木と慣れていくための途中の段階なのです。 
             花型は形が決められていてやや退屈かもしれませんが、その中にはいけばなの基本がいっぱい詰まっているのです。
  花型ってどのくらいあるんですか。
  基本が二つ、応用花型が八つほどです。
  とても覚えられそうにないわ。
  暗記する必要は全くありません。なにしろ植物を手にとって、花や木が語りかけてくるものを耳を澄ませて聴いてみてください。
  
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